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ジェットエンジンの原理

ターボファンエンジンの動作原理

今回は現代のジェット旅客機で多く使用されているターボファンエンジンの動作原理を紹介します。なお筆者は航空機業界の専門家でも関係者でもなく、個人的な見解を紹介しているに過ぎないため間違い等あるかもしれません。

概要

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ターボファンエンジンはファンとエンジンコアの2つで構成され、それぞれがジェット(噴流)を生成しその反作用で推進力を得ます。エンジンコアの主な役割は排気ガスによるジェットの生成ではなく、ファンを回転させる原動力を生み出すことです。近年のターボファンエンジンはエンジンコアが生成するジェットによる推力よりも、ファンが生成するジェットによる推力のほうが大きい傾向にあります。ちなみにエンジンコアがファンではなくプロペラと連結されていれば、ターボプロップエンジンとよばれます。

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一番左がファン、対称の壺のようなものがエンジンコアを表しています。エンジンコアは更に圧縮機(compressor)、燃焼器、タービンで構成されています。圧縮機で空気を燃焼に最適な圧力まで圧縮し、燃焼器で燃焼させ、その爆発力でタービンを回します。圧縮機とタービンはそれぞれ低圧力段と高圧力段に分かれています。タービンはファンと圧縮機と同軸であるため、タービンで得られた回転力でファンと圧縮機を駆動します。

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空気の流れを描いた図です。空気はファンに入ったあと、バイパスされた空気の流れとエンジンコアを通る空気の流れに分かれます。

シャフト

低圧側のシャフト (N1)

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ファン、低圧圧縮機、低圧タービンは1つのシャフトで繋がっています(同軸である)。つまり低圧タービンが回れば、ファンと低圧圧縮機が動作します。本シャフトの回転数をパーセント表記したものをN1と呼びます。エンジン計器でN1の回転数を気にしていますが、これはファンの回転数を示し、推力の大きさに直結するためです。

高圧側のシャフト (N2)

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高圧圧縮機、高圧タービンが1つのシャフトで繋がっています(同軸である)。同様に高圧タービンが回れば高圧圧縮機が動作します。本シャフトの回転数をパーセント表記したものをN2と呼びます。通常はN2が高圧シャフトを示しますが、ロールス・ロイスターボファンエンジンはN3のシャフトを持つ場合があります。これは3段階となっておりN1が低圧シャフト、N2が中間圧シャフト、N3が高圧シャフトを示します。

アクセサリー・ギアボックス

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アクセサリー・ギアボックス内にはエンジン始動用のニューマチック・スターター(pneumatic starter)、発電機(IDG:integrated drive generator)、油圧ポンプ アクセサリー・ギアボックスはアングルシャフトを通して、高圧シャフトと連結されています(注:低圧シャフトと連結されているかもしれません)。つまり高圧シャフトが回れば、連動してアングルシャフトも回り、アクセサリー・ギアボックス内の装置が動作する仕組みです。発電機と油圧ポンプはエンジンによって駆動されます。

エンジン始動

エンジン始動時はAPUの抽気(BLEED AIR:APUが生成する圧縮空気)をニューマチック・スターターに供給します。ニューマチック・スターターは風車の構造を持ち、風が当たるとアングルシャフトが回転し、連動する高圧タービンも回転します。高圧タービンが規定回転数に到達すると燃焼器に燃料が投入され点火装置によって点火されます。その後、ニューマチック・スターターは連結から解除されます。なおAPUもタービンエンジンですが、電動モーターで始動できるため抽気は不要です。

スラストリバーサー

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スラストリバーサーは逆噴射装置で着陸の際に減速するために使用します。図のようにバイパスされた空気をブロッカードアで止め、展開されたトランスレーティング・スリーブを通して外に出すことで逆の推進力を得ます。旅客機が着陸と同時にエンジンの外周を開いていますが、それがトランスレーティング・スリーブです。

注:スラストリバーサーについては理解が未熟なため間違いがあるかもしれません。