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飛行機のエンジンとスロットル

概要

航空機のエンジンはレシプロエンジンターボファンエンジン、ターボプロップエンジンなど色々あります。今回は各エンジンの特徴を紹介したいと思います。

ターボファンエンジンについての記事はこちら libayanel.hatenablog.com

エンジン種別は推進方式原動力の2つの項目に分けて考える事ができます。推進方式にはプロペラ推進ジェット推進の2つあります。一方、原動力レシプロエンジンタービンエンジンの2つあります。(この分類に当てはまらないものもありますが、今回は紹介しません。) また、エンジン種別によってエンジンを操作するレバーの種類が異なります。

推進方式(プロペラ推進, ジェット推進)

プロペラ推進

プロペラ推進は飛行機が揚力を得るのと同じ仕組みを利用して推進力を得ます。プロペラが回転すると、プロペラの上面(機体の進行方向側)を流れる空気の流速が、下面の流速より速くなります。すると、プロペラ上面の気圧は下面より下がり、合力としてプロペラ上面の方向に力が働きます。その結果、機体も前に進みます。機体の進行方向が左の場合、プロペラを横から見てプロペラの左側を上面、右側を下面としています。詳しくは揚力の仕組みを勉強してみてください。

プロペラの角度をピッチと言います。プロペラには固定ピッチプロペラと可変ピッチプロペラの2種類があり、可変ピッチの場合はピッチを変えるための仕組みが存在します。可変ピッチプロペラ機は固定ピッチプロペラ機よりレバーの数が多いです。

ジェット推進

ジェット推進はジェット(噴流)を後ろ向きに放出することによる反作用で推進力を得ます。例えばホースから水を勢いよく出すとその反作用でホースは暴れますがそれと同じ原理です。

原動力(レシプロエンジン, タービンエンジン)

レシプロエンジン

レシプロエンジンはピストンエンジンとも呼ばれ、燃料をシリンダー内で爆発させそれをピストン運動として取り出すことで動力を得ます。一般的な車のエンジンにも使われています。飛行機では昔の飛行機か、小型飛行機に使われています。殆どの場合、レシプロエンジンではプロペラを使用します。

レシプロエンジンはスロットルレバーの他に、燃料の濃度を制御するミクスチャーレバーがついています。

タービンエンジン

タービンエンジンは燃料を爆発させその(排ガスの)勢いでタービンを回すことで動力を得ます。その動力でプロペラを回すとターボプロップエンジン、ファンを回すとターボファンエンジンと呼ばれます。排ガスをファンやプロペラの回転に使用せず、排ガスの勢いをそのままジェットとして放出する場合はターボジェットエンジン(もしくはピュアジェットエンジン)と呼ばれます。タービンエンジンはプロペラ推進、ジェット推進のどちらの推進方式でも利用できます。中型飛行機以上はタービンエンジンを使っています。

タービンエンジンの場合はスロットルレバー1本です。おそらくミクスチャーまで人間が制御するのは大変なので、コンピュータ任せなのでしょう。

プロペラ機とは

よくプロペラ機と言いますが、プロペラ機と言ってもレシプロエンジンかタービンエンジンの2つがあります。例えば同じプロペラ機のゼロ戦YS-11は前者がレシプロエンジンで後者はタービンエンジンです。また、レシプロ機という場合は殆どプロペラ推進なので、レシプロ機ならばプロペラ機と言って差し支えありません。

主な名称 推進方式 原動力
特になし(*1) プロペラ レシプロエンジン
ターボプロップエンジン プロペラ推進 タービンエンジン
ターボファンエンジン(*2) ジェット推進 タービンエンジン
  • *1 : 特に名称はないがそのような航空機はレシプロ機と呼ばれることがあります。
  • *2 : その他、ターボジェットエンジンなどがあります。

スロットルレバーを見てみよう

説明が長ったらしくなりましたが、各機のスロットルレバーを見てみましょう。画像はX-Plane11のものです。

727

f:id:libayanel:20190829230204p:plain 727はターボファンエンジンが左右の翼に1つずつと、垂直尾翼に食い込む形で1つの合計3つあります。そのため、スロットルレバーも3つあります。注目すべきは3エンジンともスラストリバーサーを備えてる点です。垂直尾翼にある第2エンジンはどのように逆噴射するか気になりますね。低バイパス比エンジンの逆噴射はジェットの噴出口に覆いを被せることでできます。
f:id:libayanel:20190829230155p:plain 2枚目がスラストリバーサーを動作させたときです。もう一つのレバーを引っ張ります。 ボーイング系は最新型の787に至るまでこのようなレバーです。

737-200

f:id:libayanel:20190829230212p:plain 双発ターボファンエンジンです。

737-300

f:id:libayanel:20190829230224p:plain 双発ターボファンエンジンです。

737-800

f:id:libayanel:20190829230248p:plain 双発ターボファンエンジンです。

747-8

f:id:libayanel:20190829230308p:plain 4発ターボファンエンジンです。レバーも4つです。

757

f:id:libayanel:20190829230316p:plain 双発ターボファンエンジンです。

767

f:id:libayanel:20190829230326p:plain 双発ターボファンエンジンです。

777

f:id:libayanel:20190829230336p:plain 双発ターボファンエンジンです。

787

f:id:libayanel:20190829230352p:plain 双発ターボファンエンジンです。

A320

f:id:libayanel:20190829230557p:plain 双発ターボファンエンジンです。A320のスロットルレバーはボーイング系とは似て非なるものです。エアバスのスロットルレバーはモードセレクタも兼ねていて、オートスロットルを有効にする場合は、特定のポジションにセットすることでレバーは動かず推力が自動調整されます。一方、ボーイング系のスロットルレバーはオートスロットルが有効の場合、まるで透明人間がスロットルレバーを動かしてるかのように自動で動きます。

f:id:libayanel:20190829230408p:plain スラストリバーサー動作時です。A320はレバーを後ろに倒すことで作動します。

A330

f:id:libayanel:20190829230433p:plain 双発ターボファンエンジンです。

コンコルド

f:id:libayanel:20190829230515p:plain 4発ターボファンエンジンです。コンコルドはああ見えて、エンジンを4つも装備しています。注目すべきは超音速飛行のためにアフターバーナーがあることで、他の旅客機にはまずありません。

CRJ-200

f:id:libayanel:20190829230530p:plain 双発ターボファンエンジンです。なんとなくビジネスジェットのイメージがあります。

MD-80

f:id:libayanel:20190829230609p:plain ごちゃごちゃして見えますが、双発ターボファンエンジンです。

Q400

f:id:libayanel:20190830211316p:plain 双発ターボプロップエンジンです。スロットルレバーの他に、プロペラやエンジンを制御するプロペラレバー(もしくはコンディションレバー)がついています。

SAAB-340B

f:id:libayanel:20190830211327p:plain 双発ターボプロップエンジンです。Q400と同じような構成です。

TBM-900

f:id:libayanel:20190830211337p:plain f:id:libayanel:20190830211345p:plain 単発ターボプロップエンジンです。プロペラレバーが内容に見えますが、レバーの溝がh型になっていることがわかるでしょうか?右の溝はエンジンスタートするときに使い、飛行中は左の溝を使います。単発エンジンならではの配置ではないでしょうか。よく考えられています。

cessna172

f:id:libayanel:20190829230442p:plain 単発レシプロ機です。黒い棒がスロットルレバーで、赤い棒がミクスチャーレバーです。ミクスチャーレバーは燃料の濃度を調整します。高度が高くなると空気密度が薄くなるので、その分燃料濃度を薄くしないと燃料が濃すぎて効率が悪くなります。なお、安価(?)な機体は固定ピッチプロペラのためプロペラレバーはついていません。

DC-6

f:id:libayanel:20190829230546p:plain 4発レシプロ機です。スロットルレバー、ミクスチャーレバー、プロペラレバーがついておりとても複雑で全部は写しきれてません。左右に4本ずつある黒いレバーは全てスロットルレバーですが、エンジンは8つあるわけではなく、機長用と副操縦士用にレバーを分けているものだと思われます。

最後に

いかがでしょうか、スロットルレバーの周囲を見ると飛行機がどんなエンジンを搭載しているか何となくわかります。個人的にはスイッチやレバーが多いほうが動かしてる感があるので好きですね。