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フライトシムを遊ぶ

フライトシミュレーター 航空計器の基礎 PFD

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今回はフライトシミュレータ X-Plane11を使って航空計器の見方を解説します。今回紹介する計器は操縦する上で重要度の高い、姿勢指示器、対気速度計、高度計、昇降計、方位指示器が画面上に統合されたPFD(Primary Flight Display)です。昔の航空機はこれらの計器がすべてアナログメーター表示されていましたが、最近はPFDに綺麗に情報がまとめられています。

737を例にコックピットの変移を見てみましょう。737は今から50年以上前の1967年に初飛行してなお、最新型シリーズがリリースされている寿命の長い航空機です。

737-200

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こちらは737-200のコックピットです。見ての通りアナログメーターが並んでいることがわかります。姿勢指示器を中心に、その左に対気速度計、右に高度計、下に方位指示器(HSI)があります。この配置はTに似ていることから、T型配置とも呼ばれます。多くの航空機でこのT型配置が採用されています。

737-300

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こちらは737-300のコックピットです。737-200と違う箇所はPFDが装備されている点です。ただ、PFDは姿勢指示器、対気速度計を含むのみで、高度計はアナログメーターのままです。また、アナログメーター版の対気速度計も備えています。おそらく、この時期はまだPFDへの信頼性を十分に持つことができず、念の為アナログ計器も装備していたものと思われます。ちなみにPFDの下にあるのはND(Navigation Display)と呼ばれ、航法画面が表示されます。車で言うカーナビのようなものです。

737-800

f:id:libayanel:20200607145059p:plain こちらは737-800のコックピットです。PFDに姿勢指示器、対気速度計、高度計、昇降計、方位指示器が統合されました。NDも大きく右側に表示されているのがわかります。このように737シリーズはアナログ計器からデジタル計器を経験した珍しい航空機です。

PDFの見方

A320 (Flight Factor製)のPFDを例に見方を説明します。 f:id:libayanel:20200606220847p:plain f:id:libayanel:20200606220844p:plain

上の図が各種計器の位置、下の図が詳細を示しています。

対気速度計 (Air Speed Indicator)

左側の伸びているバーが対気速度計です。黄色い横棒が現在速度を示します。単位はKnot(1時間に1海里=1.852km進む速さ)です。対気速度とは簡単に言うと風が機体にぶつかる速度です。風が翼に当たることで揚力を得るので、対気速度はとても重要な数値です。この対気速度は指示対気速度(IAS: Indicated Air Speed)とも呼ばれています。指示対気速度は空気密度や空気圧縮を考慮していないため、高高度や高速域では正しい対気速度とはなりません。それは指示対気速度は、空気密度が標準大気の平均海面のものであるという仮定のもと、風のぶつかる圧力(=動圧)を測定し、速度に変換しているからです。例えば、海面付近を指示対気速度100 Knotで飛行する場合と、20000ftを指示対気速度100 Knotで飛行する場合は、後者のほうが実際の速度は早くなります。20000ftでは海面よりも空気密度が低いため、抵抗が少なくその分速度を出すことができます(=20000ftは空気が薄いので地上の100knot分のぶつかる圧力を得るためには、速度が上がる)。空気密度と圧縮性を考慮した本当の対気速度のことを真対気速度(TAS: True Air Speed)と言います。なぜPFDには真対気速度ではなく指示対気速度が表示されるのでしょう?真対気速度が出たほうが便利そうな気もします。操縦において大切なのは風が航空機にぶつかる力がどのれだけか?です。例えば先程の例では海面付近でも20000ftでも指示対気速度100Knotであれば、風ぶつかる力は同じです。つまりもし100Knotが限界速度だとしたら、どの高度でも100knot以下で飛行すればよいのです。真対気速度を用いると、限界速度がある高度では○○ Knot、ある高度では□□ Knotと紛らわしくなります。

  • 補足
  • 計器誤差を補正した速度を較正対気速度(CAS: Calibrated Air Speed)という
  • 圧縮性を補正した速度を等価対気速度(EAS: Equivalent Air Speed)という
  • 等価対気速度から更に空気密度を補正した速度を真対気速度(TAS: True Air Speed)という
  • 低高度、低速では指示対気速度は等価対気速度と等しくなる事から、上記記事では同じ意味で使用している

詳しくは

ja.wikipedia.org

さて、対気速度の説明が長くなってしましましたが、計器の見方に戻ります。対気速度計の上に250と表示されていますが、これはMCPもしくはFMSで設定したターゲットスピードです。バー右の緑の-Sはフラップレバーが1のポジションから0ポジションに格納しても良い速度です。180の目盛り付近に上矢印がありますが、これは10秒後に到達する速度を示しています。減速する場合は下向きの矢印になります。

マッハ数 (Mach number)

対気速度計の下にあります。音速を1とした場合の、飛行速度の比です。

針路

下のバーが針路情報を示しています。黄色い縦棒が機体が向いている向き(ヘディング)を示します。そして緑色のダイアモンドのような印はトラックといい実際の進行方向を示します。風がない場合はヘディングとトラックは一致しますが、風から風があると一致しません。例えば左から風が吹いている場合、まっすぐ進むと風に流され右に行ってしまいます。そこで、風上である左に機首を向けるとまっすぐ進むことができます。このときの機首方位がヘディング、実際に進む方向がトラックというわけです。

高度計 (Altimeter)

右から二番目のバーです。現在の高度を示します。上の30000MCPまだはFMSで指定したターゲット高度です。

高度について詳しくはこちらを参照してください。

libayanel.hatenablog.com

気圧計設定

気圧高度計の設定です。日本では14000ft未満のときにQNHセッテイングを行い、それ以外の高度ではQNEセッティング(A320ではSTDの表記)にします。

対地高度計

姿勢指示器の下の方にあります。電波高度計で地上からの高さを測定します。特定の高度以下の場合に自動的に表示されます。

昇降計 (VSI: Vertical Speed Indicator)

一番右のバーです。1分間に上昇/下降する量をftでしめします。例えば上方向に30と表示された場合、1分間に3000ft上昇します。

PFDにはこれ以外にもいろいろな情報が出るのでとても、説明しきれませんがこれだけわかれば、一応は飛ばせます。